8時過ぎの遅い到着にもかかわらずスカイラインのゲート前はガラガラ、何で?前日の降雪予報で今日はさぞかし御在所は大賑わいかと思っていたのに。気温は高め、どんよりと曇っているが、雲母峰あたりまで雪を冠っていたので今日は期待できるかも。スカイラインを歩き始めるとすぐにサルの群れに遭遇。小ザルがたくさんいる。すぐそばを通り抜けても木の実の採取に一生懸命みたいで知らん顔された。小ザルに向かって手ぬぐいをヒラヒラさせてやったら、驚いたのか木陰に隠れてこっちをじっと見ている。雨がぽつぽつ降出したがすぐに止んだ。スカイラインにほとんど雪は無かったが、山の家脇の登山口につくと昨夜降ったのか15センチ位の積雪が。踏み跡は無い。アイゼン装着、「雪の無い壁でもアイゼン着けたまま登る訓練」が今日のテーマ、というか途中で履くのがめんどくさい。沢までの山道は、雪解け水がぼたぼた木の上から落ちてきて、まるで雨降り状態、道もぐちゅぐちゅ。ひえ〜っ、首筋に冷たい雫が・・・・、フードをかぶる。沢に降りると雪の上に誰かの踏み跡が、一番乗りかと思ったのにがっかり、どこから入ったのだろう。雪が浅く、アイゼンの歯が引っ掛かって歩きにくい。雪も溶けかかっているのか沢の水も結構多い。不動の滝の氷柱も短かめで何となく貧弱だ。二俣手前の平たい大岩でコーヒーを一杯。わずかに晴れかけたのかぼんやり伊勢湾が霞んで見える。今シーズンはまだ一度も真青な伊勢湾や木曾三川のくっきりとした流れを見ていない。二俣に来ると誰かのトレースは左俣に向かっている。僕は右俣に。ここから先は僕のフィールドだ。誰のトレースも無い。取りつきの岩に大きく「上級」と赤ペンキで書き付けてある。春には無かったはずだが。取りついてすぐ谷は両岸のスラブに挟まれた急斜面となり、チムニー状の岩溝の登りに四苦八苦する。このあたりは、しっかり雪が詰まっていて腿まで雪に沈み込む。やっとピッケルの出番だ。右俣をとった場合、この岩溝から突き当たりの滝を巻くまでが一番楽しめるところになるが、ミスるとただでは済まない。しばらく詰めて、首をのけぞらして見上げると断崖状の滝の落ち口が岩越しに目に入ってくる。滝の手前で岩溝は二つに分かれる。左を真直ぐ詰めれば滝の真下に出る。二俣から滝下まで距離はしれているが結構時間を喰ってしまった。滝は日当たりがいいせいか雪はほとんどついていない。この滝はまるで衝立のような壁で、どう見ても滝には見えない。今日も水は落ちていない、きっと昔はこの谷も水量が豊富だったのだろう。山登りを始めたばかりの頃、この滝の側壁を登ろうとして落ちたことがあるので、「猫落としの滝」とでも名付けておこう。ずっとこの滝が大黒滝だと思い込んでいたが、そうではないみたいだ。
滝下からロープウェイの大鉄塔まで直登する。鉄塔の真下から見上げるとゴンドラが随分小さく見える。空はまたどんよりと曇りはじめてきた。ここからは鉄塔巡視路をトレースして行く。雪は30センチ位しかなく、かなり湿っぽい。柱状岩壁の基部からはパイプ梯子と鎖で岩棚をへつりながら高度を上げていくが高度感にさらされ緊張する。雪が少ないせいで梯子を掘り出す手間が省けるが、何か雪山の雰囲気に欠けている。すぐ近くをゴンドラが通り過ぎる。中でカップルが抱き合ってキスしている。ムカうらやましい。柱状岩壁の上部に出ると、すでに大黒岩を見下ろせるまでの高さになっていて雪をかむった鎌ガ岳を背にした大黒岩の姿は絶景だ。さすがに雪は膝あたりまで深まってきたが相変わらず湿っぽく2月の雪とは思えない。山上駅の右上あたりから山上公園に詰める。本谷の上部を眺めてみるが誰も登っていない。山上公園は強い風が吹き抜けていてかなり寒い。売店のベンチに年輩の団体さんがたむろっている。ほとんど全員が軽登山靴だ。軽登山靴にピッケルというのも何か奇妙だ。団体さんが立ち去るのを待ってお昼ご飯の準備。風が強いので自動販売機の横で湯を沸かす。まずはホットウイスキー。美味しい。ひとごこちついたところでカップラーメン。食べ終わってからまたホットウイスキー、寒いけど幸せ。帰りは裏道から。人が少なくて歩きやすいがトレールは浅く景色も全然。藤内小屋を通り過ぎると小屋の前の広場は山上公園で会った団体さんでいっぱい。20人近い団体ではどこに立ち寄ってもオーバーフローになるのは当たり前か。スカイラインに下りるとまたサルたちに出会った。サルに見送りと出迎えをしてもらう山行きもたまにはいいものだ。雪は今いちだっがラッシュ予想の本谷を一人で楽しめたのだから今日の山行きは二重マルということにしておこう。でも、もうひと寒波期待したいなぁ。
