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  2004年6月14日    西表島アラバラ川遡行 

                

                       

 イルンティ・フタデムラ

                 

 6月12日12時35分、西表島大原港上陸。やまねこレンタカーで軽自動車をレンタル、途中、由布島に立ち寄り干立集落へ。 15時30分、干立集落、イルンティ・フタデムラ着。イルンティ・フタデムラは干立公民館が運営する赤瓦葺きの一棟建て宿泊施設で、集落内に8棟ほど建てられているがほとんどが空き棟。ここに4泊する予定だ。ここでは自炊が原則のため、上原まで戻り滞在中の食料を買い出し。夕方、集落の西に面した前ノ浜で、イソハマグリを採り、今夜の味噌汁の具に。13日、塩川用勝氏の稲田で、黒紫米の稲刈り体験。午前中は稲を鎌で刈り、午後は脱穀。脱穀には、足踏み回転式の脱穀機を使った。黒紫米作りは、田植えから収穫まですべてが人力による。夕食に招かれ塩川氏宅に。氏のお宅は、八重山の伝統な赤瓦葺きの建築で、築130年以上とのこと。捕れたてのカツオの刺身やアダンの新芽のおしたし等々、塩川氏の奥さん手作りの島料理を肴に、オリオンビールが次々と空になっていく。イルンティ・フタデムラの管理人を任されている長澤青年も途中から加わり、泡盛宴会に。この村の人たちは、前ノ浜の海のごとく人も澄んでいる。長澤青年からアラバラの滝について情報を得る。     

               

 アラバラ川遡行 幻の滝を求めて

                        

   アラバラ川の河口は干立の与那田川から海岸線沿いに2キロほど南に位置する。浦内川や仲間川に比べれば、小さな川だがまず人の入らない川だ。西表島の沢登りの魅力は、海抜0mからのアプローチに尽きる。河口の様相は潮の干満により一変する。河口からカヌーでアプローチするのであれば、満潮時に、徒歩での徒渉であれば干潮時に、出発、帰着時間を合わせなければならない。潮の干満はタクティクスの重要なファクターとなるし、潮見表も必須アイテムとなる。長澤青年に教えられた幻の滝を目指しアラバラ川の遡行を試みた。

                       

   

                          

 美田良川橋の手前に車を置き、農道から稲田の畦に入る。収穫直前の稲穂は、強い陽に照らされて黄金色に輝いている。鉈を片手に、畦からアラバラ川河岸に広がる亜熱帯林に突入。鉈で、シダや木の蔓をはらいながら入渓点へ。水深は膝あたり、水は意外と冷たい。両岸の斜面にはイジュ、テリハボク、ガジュマルなどの亜熱帯樹が、渓流を覆い隠すよう密生し谷は薄暗い。河岸に巻き道はないので、川芯を辿る。ミニナイアガラを乗越すとスラブ状の滑床となり、所々にウォーターポットが抉られていた。この辺りは、比較的陽当たりがよく、ヒカゲヘゴが何本か見られる。ナメを抜けると谷は巨岩が連なる岩礫帯に変わり、ボルダーリングを強いられる。今日のシューズのソールは、スレッダーゴムにディンプル加工をほどこした特殊仕様。滝の直登などで威力を発揮するはずだったが、ボルダーリングで役に立つことになった。巨岩をいくつかやり過ごすと、突然両岸の密林が開け、眼上に白い水しぶきをあげる滝が現われた。これが幻の滝か。滝に近づくと、さらに右岸にも滝が流れ落ちている。滝の岩崖には、シダの葉が密生し、水流の白さと濡れた濃い緑のコントラストが眩い。おそらく、多くの西表島の滝がそうであるように、滝の上部は美しい滑床が広がっているであろう。そこからの景色を想像すると、胸が熱く騒ぎだす。この島でしか見られない、ジャングル越しに見渡す限りなく青い海、だが今日はここで引き返すことにしよう。缶ビールを飲み干し、滝を後にする。

                               

 帰路、今夜のおかずにヒカゲヘゴの新芽を鉈で採取、密林トレッキングに鉈はかかせない。入渓点を過ぎさらに下流に向かう。川幅が増し、水深も腰ほどの深さに。亜熱帯樹の緑のトンネルを抜けると、マングローブが群生する干潟に出た。河口は近い。干潮のため、ヒルギの気根が露出し、トビハゼが跳ねまわっている。メタ(泥砂)に足が膝まで沈み込み歩きにくい。メタを歩く時の鉄則は、必ず樹木よりにトレースすることだ。腰より深く沈むと自力での脱出は難しい。西表島の内陸部には、いくつもの底なし沼があるという。           

 マングローブの群生がとだえ、目の前に絵の具を溶いたような真っ青な海が広がる。海抜0mへの帰着。アラバラ川の茶色い水と東シナ海の青い水が出会う場所まで海の中を歩く。その出合いの場所は、きれいな境界をなしていた。シマトゥ トゥミ アラショウリ  カシユゥ シサリ・・・あの滝も、アラバラ川の流れも、この海も、この島の人たちも、いつまでもこの島と共に美しくありつづけてほしい。アラバラ川を振り返りそう祈った。

                               

 

                              

 写真   上  冒険 密林シャワー

      中  秘境 アラバラ川の滝

      下  楽園 アラバラ川河口から海へ     

                              

                       

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