2001年 1月 2日
高畑山773m・那須ガ原山800m・油日岳616m くもり一時小雨 強風
鈴鹿峠 − 高畑山 − 溝干山 − 坂下峠 − 唐木山 − 那須ガ原山 − 三国岳 − 油日岳 −
三馬峡 − 柘植駅
6:50 鈴鹿峠滋賀県側駐車場
7:02 高畑山登山口
8:01 高畑山
〜 8:11
8:31 溝干山
9:05 唐木山
〜 9:29
10:15 那須ガ原山
〜 10:40
11:35 三国岳
12:14 油日岳
〜 12:20
13:40 柘植駅
14:20 関駅
14:40 鈴鹿峠滋賀県側駐車場
今日は初詣を兼ねて鈴鹿峠から油日岳までの鈴鹿最南端ルートを縦走。5:10、名古屋出発。亀山インターから1号線に下りる。気が付くと四日市方面に向かって走ってる。慌てて関方面へUターン、鈴鹿峠へ。鈴鹿トンネルにさしかかると電光掲示板に鈴鹿峠0度の表示。今度は、鈴鹿トンネルを抜けたあと駐車場への入り口を通り越してしまい、またまたUターン。到着前から早くも迷走続きだ。なんだか嫌な予感がする。6:25、ようやく鈴鹿峠滋賀県側駐車場に到着。駐車場の向かえには大きな灯篭と吾妻屋がある。東海遊歩道の休憩所みたいだ。準備体操をして登山靴に履き替える。ザックをかついでいざ出発、という時、忘れ物に気が付いた。防寒ウエアと帽子を家に置き忘れた。雨合羽も下しか持ってきていない。ちょっと寒いが、まっいいか。それにしても嫌な予感。6:50、鈴鹿峠出発。天気はくもり。7:02、高畑山登山口。駐車場から登山口まで、1、2分のところを茶畑の側道を登山道と間違えて取りつき前からコースアウト、10分のロス。ますます嫌な予感。登山口から30分ほど急登し稜線へ。風が強く、くもり空ながら展望はまあまあだ。北東を眺めると三子山、四方草山の山なみ越しに、仙ガ岳の双耳峰と野登山の電波塔が、かすかにかすんで見える。稜線に出てから10分ほどでナイフリッジに。ここからガレに沿って北に回り込み、ナイフリッジの対面で西に向きを変え,ピークを3つ越して、高畑山に取りつく。8:01、高畑山。頂上は小広場になっていて展望は360度開けている。その分、風をまともに受けて寒い。下着と長袖シャツだけでは当たり前か。木の杭に赤ポストがくくりつけてあり、中に雑記帳があった。2000年1月1日の日付で二人が記帳がしている。昨日は「霧氷」だったらしい。「2000年1月2日8:01、名古屋市江口敬一、これから油日まで縦走します。」と記帳。遭難した時、捜索の役にたつかも。8:11、那須ガ原山に向けて出発。踏跡は、しだいに細くなり、日陰は薄っすらと雪がついている。ピークを2、3つ乗り越し、8:31、溝干山(770m)着。時計の高度計を修正しようとしたところ操作不良で表示がぐしゃぐしゃに。やっぱり嫌な予感。ここから木の根をつかみながら一気に急坂を下る。
8:35、坂下峠を見下ろすガレ場に出る。ここで写真を1枚。ガレ場のふちにしゃがみ込んで、南にのびる尾根を構図に収める。シャッターを切り、立ち上がった瞬間、頭に衝撃を受けて転倒。痛〜っ。じゃなくて、危〜っ。危うくガレに転落するところだった。指導標の角に頭をぶつけたみたいだ。打ったところを触ると指にベットリ血がついてきた。やっぱり帽子を忘れたのが痛かった。小指の長さほど切れているが、深くはなさそうなので、縦走を続けることにする。8:50、坂下峠。峠から10分ほど登りピークに出ると足元のキレットを隔てて二段、20m以上の切り立った岩峰が眼前に迫ってきた。9:01、唐木のキレット。けっこう手強そうだ。今までの鈴鹿縦走中一番の難所かもしれない。さて、どうしようか。キレットを通過し、左から一段目高さ7、8mの大岩の裏側に回り込み二段目の岩壁の直下に出る。高さ15mほどの巨大な一枚岩の岩壁だ。左に巻道があるがとりあえず直登を試みることにする。右に少し回り込むと岩壁の下部にチムニー状の縦溝があり、ここから取りつけば途中までは足場は確保できそうだ。側壁に手足をかけながら慎重に5、6m登ったところで行動停止。あの時のことを思い出した。半年前、御在所ロープウエイ昇降口直下左側の岩場を直登し、風化した岩壁に取りついたまま身動きできず転落の恐怖に心臓が凍りついた時のことを。足場を失ってから岩壁を途中から降下するのは登り以上に危険だ。上部の状況に確信がないまま、むやみに直登するのは愚かなことだ。過去の教訓に従い足場が確保できているうちに一旦下に降りることにする。巻道から岩峰の上に出て上部の状態を確認してからもう一度取りつけばいい。サポートの無い単独行なのだからそれぐらい慎重にいかなくては。巻道から岩峰のピークへ。岩壁のふちから見下ろすと岩峰の東側は滋賀県側に深く切れ落ちていて、高度感はなかなかだ。下からは見えなかったがチムニー状の縦溝から大岩の裏側に出て、ザレた急斜面からピーク直下の花崗岩のエッジを乗り越せばなんとか直登できそうだ。・・・・ そうだ、ロープを使おう。緊急降下用に8mm15mのロープをいつも携帯していたのだった。ロープを使えば巻道を戻らなくて降りられるし、登りの時も万一の備えになる。これはいいアイデアだ。今まで一度も使うことのなかったザイルを使う時がきたかと思うとわくわくしてくる。さっそくザックからロープを取り出し ・・・・・ のはずがロープがない。何度探してもない。古いザックから移し替えた時に入れ忘れたみたいだ。おのれ〜っ、肝心な時に。こうなったらロープなしで降りてやる。この程度の岩場にロープなんて不要だ。花崗岩のエッジからザレの斜面にトラバースするため、後ろ向きになって側壁の角に足をかけたところいきなり足場が崩れた。下半身が宙に浮く。エッジを手だけで必死でずり上がって一息。危なかった。見た目以上に花崗岩の風化がひどかったみたいだ。取りつき場所を変えてザレ場に下り、大岩の縦溝に体を入れて両手足で側壁を突っ張るようにして7、8m降下し大岩の基部に着地。同じルートを登り返してピークにもどる。往復で7、8分というところか。こんなことなら最初から直登すればよかった。でも危険度では今までの鈴鹿縦走路の中では一番かも。ともかく那須ガ原山をめざす。血が耳の裏側をつたって気持ち悪い。小ピークをいくつか乗り越し、三つ頭山を越えようやく那須ガ原山への分岐に。強風が吹きつけるたび傷口から寒さがしみてくる。
10:15、那須ガ原山(800m)。山頂には小さな祠があり、山頂の広場全体が那須ガ原神社になっているみたいだ。祠の扉は閉まっていて、かんぬきが掛けられている。扉を開けると雑記帳がおいてあった。お参りをしてから記帳する。「これから油日まで縦走します。」これで万一の場合も捜索範囲は、那須ガ原山から油日岳に限定される。それにしても初詣なんて20年位したことなかったなぁ。ずいぶんと無信心を続けていたものだ。お腹がすいた。ここまで、時間の割に随分な運動量だ。いったい、いくつアップダウンをこなしただろう。コーヒーを飲みながらパンを食べる。うまい。じっとしていると寒いので歩きまわりながら食事をする。この風の強さではとてもコッフェルを使う気になれない。傷口が気になる。恐る恐る触れてみるとまだべっとりしてる。でも血は止ったみたいだ。霊験顕たかとはこのことか。10:35、県境縦走路にもどり目的地の油日岳に向かう。那須ガ原山の分岐から標高差150mの急坂を下り不動滝の分岐を過ぎる。キレット、岩峰、やせガレのアップダウンを何度も繰り返し、途中、支尾根に迷い込みながらもなんとか県境尾根をトレースしていく。このあたりは支尾根が多い上、分岐に指導標が無いため何度も県境尾根をはずしそうになる。アップダウンのたびに向きを変える尾根に方向感覚が鈍らされているのでなおさらだ。11:45、三国岳(714m)。山頂からいきなり木の根につかまりながら急斜面をくだり15mほどの岩壁にとりつく。それにしてもこれほど激しいアップダウンといくつもの岩場やキレットがあるのに、鎖もロープも全然ないのはちょっと不思議だ。岩峰を乗り越し北面が切れ落ちた大ガレに出る。周りにいくつもの小ピークを配した那須ガ原山の山容がなんとも立派だ。強風に時折小雨が混じりはじめる。大ガレからさらにピークを2つほど越えると油日駅への分岐に出た。あともう少しだ。
12:14、油日岳(694m)。やっとついた。ここにも祠があり、「岳大明神」と表柱に記されている。南に展望は開けているが眼下にゴルフ場が広がっているだけで、とても疲れを癒してくれるような眺望ではない。あいかわらず風は強く今にも雨が降りそうだ。コーヒーを飲んだらすぐ下山だ。怪我と強風と雨雲に、もはや往復する気力はなくなっている。三馬峡から柘植駅におりよう。12:20、下山開始。細くて崩れやすいザレ道を三馬峡の源流部にまで降りる。沢沿いの道に出るとあとは緩い歩きやすい道になった。小さな釜をもつ滑滝がいくつかあり思ったよりは感じのいい谷だ。12:55、油日岳、三国岳分岐。ここからは林道を柘植駅めざしてひたすら歩くだけだ。だが舗装された道は膝にこたえる。13:40、柘植駅到着。今日も誰にも会わない完全ひとり山行きだった。駅前の酒屋さんでビールと燗酒を買う。おばあちゃんが5円おまけしてくれた。子どもの頃のお使いを思い出して心がなごむ。駅員さんにタクシーの拾える駅までのきっぷをください、と言うと亀山までのきっぷをくれた。ホームで燗酒を飲んでいるとさっきの駅員さんに「タクシーはどこまで」 と聞かれる。「鈴鹿峠」と答えると、「電車の一番前の左側に乗って、関の駅でタクシーが停まってるのが見えたら、そのまま関で下りたほうがタクシー代が安いですよ。亀山までの90円は無駄になるけど。」と教えてくれた。14:19、関駅着。タクシーで鈴鹿峠に向かう。缶ビールを出してグビッとやる。うまい。運転手さんは年配の方で前は20年もトラックに乗ってたそうだ。「タクシーとトラックとどっちがいいの。」僕が聞くと、「荷物は文句いわないから。」との答え。なるほど。「お客さんお風呂入りたいなら、帰りにそこの関ロッジによるといいよ」とも。14:40、鈴鹿峠駐車場帰着。駐車場前の大灯篭は「万人灯」と呼ばれていて江戸時代からあるそうだ。関ロッジは時間外で入浴できなかったが、今日は厳しいバリエーションで十分満足できる山行きができた。それにしてもひとりで山に行くというのもそろそろ考えものかもしれないな。まぁ、縦走達成まであと少し。つぎは鈴鹿峠から安楽峠を縦走することにしよう。
写真 上 唐木のキレット 中 坂下峠のガレ 下 那須ガ原山山頂