2001年2月4日 御在所1212m くもり
本谷登山口 − ロープウェイ大鉄塔 − 朝陽台 − 裏道登山口
8:16 スカイラインゲート
9:00 本谷登山口
10:05 ロープウェイ大鉄塔
11:35 ロープウェイ昇降口下
12:16 朝陽台
〜13:15
14:28 裏道登山口
14:43 スカイラインゲート
今日は初めての前爪付きの10本アイゼン。来週の西穂に備えての前哨戦だ。登山口から山道に入り先行のグループの最後尾にくっつく。今日は人の後ろ姿を見ながらの山行きになるのか。ぞろぞろ沢に降り、谷に取りつき始める。グループと距離をあけるため立ち止まっていると、ヘルメットをしたおじさんがグループとすれ違いに下ってきた。「たくさん人が入っているからルートを変える。」おじさんは少々不機嫌そうに言うと左岸の山道に入って行く。別ルートがあるのか、だったら僕もおじさんについていこう。確かに誰かのトレースがついている。ここから別ルートがあるとは知らなかった。トレースをたどり山道を15分程行ったところで分岐らしき所に出た。道は山腹沿いに直角に右に折れているが、直進方向にも斜面を緩く下る細い道らしきものが延びている。トレースは右についている。「あんたは、真直ぐ行きなさい。ロープウェイに出るから。わしは中道にまわるから」。中道に?。「初心者でも行けますか」。「大丈夫、大丈夫、テープ巻いたるから」。どうやら、これ以上一緒には行きたくないということらしい。ここまでご一緒させてもらったお礼を言って、おじさんと別れる。しかし、初心者がトレースもついてない初めてのルートを、単独で行くのは、ちょっと危険なような気もする。まぁいいか、行ってみよう。
分岐を直進し緩く下り、ぐらぐらの鉄板を渡って急斜面を乗り越す。テープなんてどこにあるんだ。はるか頭上を赤いロープウェイがゆっくり行き交って行く。いくつか涸沢を越すと白い大鉄塔がまじかに見えてきた。吹きだまりの急斜面を一歩登っては三歩ずり落ちる、といった雪だるま状態で登りきり、なんとか大鉄塔にたどり着く。真下から見上げると物凄い高さだ。コーヒーでひと息入れる。大鉄塔から少し登ったところで行き詰まった。垂直の壁に遮られ進めない。ひょっとしてと思い、ピッケルで壁の雪を掘り起こすと鎖でできた梯子が出てきた。連続する急崖を梯子を掘り出しながら急登。高度感満点でスリリングだ、一気に高度をかせぐ。大断崖の下部をトラバースして慎重に斜面を下り、いったん本谷上部に降りる。源頭部からロープウェイ昇降口の下を再び大断崖のエッジまでトラバース。ここでスリップすると、ずいぶん下までもっていかれそうだ。目の前をロープウェイが過ぎていく。乗客が手を降っている。足下が垂直に切れ落ちたエッジからは、本谷の真っ白なスロープを隔て大黒岩と雪に覆われた鎌ガ岳の鋭峰が、絵のように美しい見える。岩壁を慎重にホールドしてエッジを少し回り込み、山上公園まで続く壁のような急斜面に取りつく。イヌツゲのような低木が群生し斜面一面に樹氷が広がっている。木の幹は半分は雪に埋もれている。雪の中に潜り込むようにして、左手で枝だを掴み、ピッケルを幹に引っ掛け、アイゼンで木の根元を探り、木登り状態で山上公園を目指す。かなりしんどい。胸まで雪に埋もれているのに、足で地面を探ってみても底がない。ピッケルを幹に引っ掛けるたびに雪がかたまりになって、頭上に落ちてくる。息があがる。気を抜けば滑落する。山上公園への直登は、夏も冬も命がけだ。突然、空が広がりコンクリートの手すりが視界に現われた。ピッケルを手すりに掛けて体を引き上げる。山上公園だ。やれやれ。一気に緊張感が緩む。山上公園は観光客と登山者で人がいっぱいだ。売店のベンチで休もうと思ったが座る場所がない。気がつくと、あのおじさんがベンチでパンをかじっている。おじさんの方が早かったのか。まぁ、こっちは3時間以上かかってるんだから、当たり前か。ロープウェイ駅の売店でビールと熱燗。至福の時。帰路は裏道を下山。裏道の上部から雨量レーダーを望むと樹氷が海のように広がっている。裏道はアリの行列状態で少々うんざりだったが、ともかく無事帰着。今日は本谷以上のバリエーションルートとラッセルをしっかり経験できたが、初心者の行動としてはちょっと無謀だったかも。反省。
写真 上 ロープウェイ大鉄塔
中 巡視路から大鉄塔を見下ろす