ヘビが恐い

  

   

 僕はヘビが大嫌いだ。登山道でばったり出くわそうものなら、一瞬心臓が止まって硬直してしまう。「うわぁ〜っ」と絶叫して走りだすこともある。そのくらい嫌いだ。いや、嫌いというより恐ろしい。一方的に嫌われるへび君達には申し訳ないけど、どうしようもない生理的感情なのである。突然遭遇した時、びっくりして飛び退いたはずみに危うく谷底に転落しそうになったこともある。僕にとってヘビとの遭遇は、落石や浮石同様、事故に直結しかねない危険因子なのだ。したがって夏の山行きでは五感を研ぎすまし、突然の遭遇回避に努めなくてはならない。カエルを見かけたらストックを出して非常警戒体制である。カエルの天敵はヘビ。カエルがいればヘビもいる・・・・。それほど嫌いなら夏は止めておけばいいのに、山の魅力には勝てない。困ったものだ。

 嫁さんは僕のヘビ嫌いを十分承知していて、「明日は雨上がりで山は絶好のヘビ日和ね。何匹会えるかしら。」などと楽しそうに嫌がらせを言ったりする。「ふん、ヘビが恐くて山なんか行けるかって。平気だよーっ。」と答えつつ不安が心をよぎりだす。そんな夜は、ヘビが夢に出てきて散々うなされることになる。どの道に逃げても前も後ろもへびただらけ・・・・。あと一息で断崖絶壁を登り切るというところで、最後に手をかけた木の根っこが何とヘビ、絶叫を残して奈落の底へ・・・・誰か助けてくれーーっ。こうして、僕の山行きを快く思わぬ嫁さんの心理戦にまんまと嵌められてしまうのである。ちなみに彼女は蛇皮のバックと財布を愛用していて、亭主除けに御利益があるそうだ。僕にも何かへび除けグッズがあればいいのだけれど。

        

      

01.08.25

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